美容室の店舗数は全国で約27万件といわれ、さらに店舗数は年々増加している状況です。
競争の激しい美容室業界で経営を安定させるには、集客力をアップさせ、新規顧客とリピーターを獲得する必要があります。しかし、実際に継続的な集客を成功させるのは決して簡単ではありません。
そこで今回は、美容室の集客で押さえるべきポイント、新規顧客・リピーター獲得の方法について紹介します。自身のお店の集客方法に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
美容室の集客で押さえるべき6つのポイント
美容室の集客と一口に言っても、方法・施策はたくさんあり、その中から店舗に合った集客を選んで実施しなければ、望んだ効果は得られません。
まずは、美容室の集客で押さえるべき6つのポイントを理解して、自分のお店で実施すべき集客の方法・施策を正しく選択できるようにしましょう。
予約のしやすさを整える
美容室の集客を成功させるには、来店を検討しているお客様がスムーズに予約できる環境を整えることが欠かせません。
近年は、電話予約だけでなく、Web予約やLINE予約、Instagramからの予約など、予約チャネルが多様化しています。特に若い世代は電話よりもオンライン予約を好む傾向があるため、複数の予約チャネルを用意することが来店ハードルを下げるポイントです。
例えば、公式サイトやGoogleビジネスプロフィールから24時間受付できるWeb予約フォームを設置する方法があります。
また、LINE公式アカウントにリマインダー機能を付けることで、予約忘れや無断キャンセルの防止にもつながります。新規顧客だけでなくリピーターにとっても利便性が高まり、結果として来店頻度の増加や満足度向上に直結します。
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集客したい顧客層を明確にする
美容室の集客は、ターゲットにする顧客層を明確にすることが重要です。
ターゲットが決まれば、集客の方法、店舗で提供するサービスなどをターゲットに合わせて設定できるため、来客数を増やせます。
例えば、20〜30代の働く女性をターゲットにするなら、平日夜や土日でも通いやすい営業時間を設定し、トレンド感のあるスタイル写真をInstagramで発信すると効果的です。
また、子育て中の主婦層を狙う場合は、キッズスペースやベビーカー置き場を整備し、「子連れ歓迎」と明記したチラシやWeb広告を出すことで来店しやすい雰囲気を作れます。一方、40〜50代の男性層が中心なら、メンズカットやヘッドスパを充実させ、仕事帰りに立ち寄れる短時間メニューを用意すると良いでしょう。
価格重視の学生層には学割や初回限定クーポン、高付加価値志向の顧客には個室空間やプレミアムメニューを訴求するなど、ターゲット別に具体策を決めることが重要です。ターゲットを設定せずに幅広い年齢層に向けて施策を打ち出しても、「自分向けのサロンだ」と感じてもらえず、集客効果が低下します。
結果的に広告費や時間が無駄になり、リピーターも増えにくくなってしまいます。
顧客層のニーズを把握する
店舗のターゲット層の実態を捉えたら、次にニーズを把握しましょう。
お客様のニーズには以下のようなものがあります。
| カテゴリ | 具体的なニーズ例 | 集客・改善のヒント |
|---|---|---|
| 価格 | ・もっと手頃に通いたい ・学割が欲しい |
学割メニュー、初回限定クーポン、セット割引を用意 |
| 時間 | ・夜でも行けるようにしてほしい ・待ち時間を短くしたい |
営業時間延長、予約システム導入、スムーズな施術導線 |
| サービス | ・カウンセリングを丁寧に ・子連れでも行きやすい環境が欲しい |
カウンセリングマニュアル作成、キッズスペース設置 |
| 仕上がり・技術 | ・トレンドスタイルにしたい ・カラーやパーマの持ちを良くしたい |
技術講習、最新薬剤導入、アフターケア提案 |
| 雰囲気・接客 | ・落ち着いた空間で過ごしたい ・会話を控えてリラックスしたい |
店内BGMやインテリア見直し、会話量の選択サービス |
ただし、既存のお客様やスタッフに直接ヒアリングしても、本音が聞き出せないケースも多くあります。そのため、アンケート用紙や、Googleフォームなどのオンラインアンケートを作成して、来店後のお客様に回答してもらう方法が効果的です。
特に、オンラインアンケートなら、スマホから回答できるため、回答率も高めやすくなります。
ニーズに対する自店の強みやコンセプトを打ち出す
顧客ニーズを把握したら、ニーズに対する自店の強みやコンセプトを打ち出して集客に反映させましょう。
例えば、顧客のニーズが「手頃な価格で施術を受けたい」であれば、競合店よりも価格を低く設定したり、ポータルサイトでクーポンを付けて訴求したりといった打ち手があります。「雰囲気が良いお店でリラックスして施術を受けたい」というニーズの場合は、美容室の内装・外装にこだわり、非日常感を演出することが大切です。
顧客のニーズによって施策の方向性は大きく変わります。自店の顧客層と顧客ニーズの把握は正確に行うことが重要です。
効果的な集客方法を実施する
集客を行う際は、目的意識を持って効果的な集客を実施しましょう。
地域密着型のアットホームな雰囲気の美容室なら、チラシや新聞広告などが有効ですし、広い範囲にリーチして新規顧客を獲得するならSNSやWeb広告が有効になるでしょう。
誰にどんな訴求をしたいのかを明確にして、ターゲットに適した施策を行えば、集客率は伸びていきます。集客方法を選択する際の注意点として、他の美容室で効果が出ている施策だとしても、自分のお店では効果が出るとは限らないということを覚えておきましょう。
これは、お店によってターゲット、客層、コンセプトなどが異なっていますので、行うべき施策もお店によって異なるためです。
集客は、自身の店舗を分析し効果的な施策を実施することが大切です。
感覚ではなくデータで分析をする
集客を行う際は、感覚ではなくデータで分析した結果に対して効果的な施策を行うようにしましょう。
感覚とは主観的なものであり、その日の気分やコンディションによって変わってしまうため、感覚を頼りに分析すると正確な現状把握ができません。自店を利用しているお客様の男女構成比、年齢別構成比、新規顧客とリピーターの構成比など、具体的な数字を確認することで顧客層を正確に把握でき、自店の課題も見えてきます。
想定していた顧客層と実際の顧客層にズレがある場合は、訴求の方法を想定していた顧客向けに修正する、あるいは実際の顧客層に合わせて訴求し、客数を増やすなど現状に応じて打ち手を選択できます。
顧客情報をデータ化するのは大変な作業ですので、先を見据えてシステム化しておくという選択肢も検討しておきましょう。
新規顧客獲得のための集客方法
美容室の新規顧客を獲得するには、自分のお店のターゲットに適した集客方法を実施することが重要です。
具体的な集客方法とその特徴や注意点を解説しますので、自分のお店に合っている方法を見つけて参考にしてください。
SNS
InstagramやLINE、X(旧Twitter)、FacebookなどのSNSを活用することも、新規顧客を獲得するには重要です。日本のSNS利用者数は、2022年時点で1億2000万人といわれており、今後も利用者数は伸び続ける見通しです。
特にInstagramは、写真や動画を通じてヘアスタイルや店内の雰囲気を直感的に伝えられるため、美容室との相性が非常に良いSNSです。
ビフォーアフターのスタイル写真、施術風景のリール動画、季節ごとのおすすめカラーなど、視覚的に訴求できるコンテンツが多いため、フォロワーからの反応も得やすく、指名予約や新規来店につながりやすくなります。
さらに、ハッシュタグ検索や位置情報タグを活用すれば、近隣に住む潜在顧客にもリーチできるのが大きなメリットです。
関連記事:美容師のインスタ活用術!予約率を上げる運用方法と注意点
ポスティング
ポスティングは、新規顧客となりそうな人が住んでいる地域の戸建住宅やマンションなどの郵便ポストにチラシなどの販促物を投函する集客方法です。
チラシによって「近所に美容室があること」を認知してもらえますので、地域密着型の美容室と相性が良い施策と言えます。ポスティングを実施する際は、自店のお客様が徒歩で来店する割合が多いなら800m以内、車での来店が多いなら5,000m以内といったように、客層と店舗からの距離を意識して配布するのがポイントです。
ポスティングは、インターネットに頼らない集客方法という点も忘れてはいけません。店舗のサイトやブログを使っての訴求は掲載順位に大きく影響を受けますし、ポータルサイトへの掲載はコストがかかってしまいます。
ポスティングの反響率は一般的に0.01%~0.3%となっており、決して高いとは言えません。しかし、チラシは紙媒体なので手元に残りやすく、冷蔵庫や玄関に貼っておいて「今度行ってみよう」と思ったタイミングで来店につながるケースがあります。
また、店舗周辺の住民全員に届けられるため、インターネットをあまり使わない高齢層にも情報が届きやすいのも利点です。
なお、継続的に実施することで店舗の認知度を高められるため、一度きりではなく定期的に行うことが大切です。
ホームページ・ブログの活用
ホームページやブログなど、自店のWebサイトを作って情報発信し、新規顧客を獲得する方法もあります。
近年では、インターネットを使って美容室を探す人が多くなっていますので、Webからの導線を用意しておくことは重要です。
ただし、SEO対策を行ってサイトを上位表示させなければ集客の効果が低くなる点には注意しましょう。SEOとは「Search Engine Optimization」の略で、検索エンジンの最適化を意味する言葉です。
SEO対策は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンに上位表示させるように自社サイトを最適化することを指します。店舗サイトを上位表示させるには、SEOの知識が必要ですので、場合によってはWeb関連の専門業者への依頼も検討しましょう。
地域イベントへの参加
マルシェや町内会・商店街のお祭り、バザーなどの地域のイベントに参加して認知度を向上させる方法も、新規顧客の獲得につながります。
チラシやWebサイトとは違い、お客様と対面してコミュニケーションができるため、顔や人柄を知ってもらい、お店へ足を運びやすくするという効果があります。
イベントなら体験型の訴求ができる点もメリットです。
自店で提供している施術を試してサービスのクオリティを実際に体感してもらえば、お店の信頼度がアップし新規顧客の来店促進にもつながります。地域イベントはお客様との距離が近いことも魅力ですので、固定客・リピーターを獲得したい場合には積極的に参加しましょう。
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リピートにつなげるための施策
美容室の経営を安定させるためには、新規顧客の獲得だけではなく、リピートにつなげるための施策も重要です。
一般的に、新規の顧客を獲得するにはリピーターを維持する場合と比べ、5倍のコストがかかると言われています。そのため、リピーターを増やすことで店舗の売上を効率よく伸ばすことができます。
ただし、新規顧客が減ればお店の顧客数も減ってしまいますので、新規・リピーターをバランス良く獲得する必要があります。
他店との差別化で飽きさせない工夫
今は美容室の数も情報も豊富で、お客様は常に比較検討をしています。
ちょっとした不満や物足りなさがきっかけで、次回は別の美容室を試してみようと思うことも少なくありません。そのため、新規のお客様をリピーターにつなげるには、お客様に「また来たい」と思ってもらう工夫が必要です。
例えば、技術だけでなく、空間演出や接客スタイル、情報発信の仕方まで含めて、お店の個性を際立たせることがリピート率向上につながります。
そして何より、「どうすれば自分のお店を選んでもらえるのか」を常に考え続ける姿勢が大切です。お客様の目線で、自店の魅力や強みを定期的に見直し、変化するニーズに応えていくことがリピーターの獲得につながります。
スタッフの接客スキル向上
リピーター獲得のためには、スタッフの接客スキルも重要です。
親切・丁寧・気持ちが良い対応は接客業の基本ですが、リピーターを獲得するには、もう一歩踏み込んで「お客様に合わせた」接客や提案をすることが必要です。
例えば、カットやカラーの最中に会話したいお客様もいれば、静かに過ごしたいお客様もいます。お客様のタイプに合わせて接客することで良い印象を与えられます。マニュアル通りの対応だけではなく、お客様を見て柔軟に接客スタイルを変えることが大切であると意識しましょう。
会員制度の運用
ランクやポイントなどの会員制度を導入することで、リピートにつながりやすくなります。
ランクアップというのは人のモチベーションを刺激します。何度か来店すると施策の割引が受けられるという目に見えるメリットがあれば、お客様が再来店するための動機付けを与えることができます。
ポイントも同様で、来店することでポイントが貯まっていけばお得感がありますし、ある一定までポイントをためると特典を受けられるなどのゴールを設定すれば再来店の動機にもなります。
お客様にとって美容室選びの重要な要素は価格や技術だけでなく、会員制度によるお得感や特典といった付加価値も選択の決め手となります。会員制度を導入する場合は、競合店の会員制度について調べたうえで、どのような形で差別化するか考えておきましょう。
キャンペーンの実施
キャンペーンを効果的に使えば、顧客の来店動機を作れるため、リピート率の向上につながります。
お店の節目や季節の変わり目などに行う期間限定のキャンペーン、お客様の誕生月にポイントアップやプレゼントを渡すキャンペーンなど、理由と特典をセットにして訴求し、お客様にお得感をアピールしましょう。
お店のWebサイトやSNSなどで、どんなキャンペーンを行っているのか、いつキャンペーンを実施するのかなど、自店に興味を持ってくれたお客様には確実に情報提供できる状態を整えておくことが大切です。
新規来店者限定、SNSでフォローしてくれた人限定など新規顧客獲得の施策としてもキャンペーンは有効です。
お客様への定期的な情報発信
お店の情報をお客様に向けて定期的に発信するのもリピーター対策として有効です。
総務省の統計によると世帯におけるスマートフォンの保有率は83.4%、個人の保有率は67.6%となっています。多くの人が肌身離さず持ち歩いてる端末に、お店のお得な情報を発信した際の集客効果は当然高くなります。
訴求するチャネルが多いほど、多くの顧客に情報を届けることができるのでリピーター対策の効果は高まります。その反面、店舗の作業は増えます。インターネットを利用して定期的に情報発信をする場合は、電子システムを導入して業務を効率化するのがおすすめです。
導入するシステムを選ぶ際は、より多くのSNSと連動しているなどチャネルが多いものを選ぶのがポイントです。
美容室の集客を「サロエボ」がサポート
「美容室の集客に力を入れたい」「集客を効率化したい」と考えている人には、サロンの業務を一元管理できる電子システム「サロエボ」の導入がおすすめです。
サロエボは、LINEや販促アプリと連動して集客をサポートできる他、顧客情報管理、予約管理、売上管理などの、サロン業務を電子化して一括で管理できるので、業務を効率化できます。
「美容室の集客に力を入れたい、集客を効率化したい」といった悩みはもちろん、「複数のWebサイトから予約を受け付けて管理が大変」「お店の売上をデータ化して分析するのに時間がかかる」など、サロン運営の悩みは尽きません。
サロエボを使えば、そんなサロン運営に関わる悩みの解決につながりますので、困っている人は導入を検討してみてください。
豊富な分析機能で店舗の状況を正確に分析できる
サロエボを導入すれば、豊富な分析機能で店舗の状況を正確に分析できます。
例えば、顧客の来店履歴から次回の来店日を予測する来店予約分析、売上シェアによる顧客分布を表示する顧客売上推移が分析可能です。
また、担当者ごとの商品の販売数・客単価を表示する技術・商品別売上月報など、サロン運営に必要なデータが自動で集計、表示されます。本来であれば、時間をかけてデータを集計しなければ、お店の状況は把握できません。
しかし、サロエボを導入すれば、その時間を施策を練る時間に充てられるため、より精度の高い施策を打ち出せます。
お客様の属性に合わせたキャンペーン配信が可能
サロエボは、お客様の属性に合わせたキャンペーン配信が可能です。顧客データと連動した自動メール配信を使えば、再来店のお客様を増やせます。
例えば、お客様のお誕生日の1週間前に自動でメール送信、最後のご来店から2ヶ月経過したお客様に自動メール配信など、よりピンポイントな訴求もできます。
また、検索条件を細かく設定できるので、ここ半年で5万円以上の売上があったお客様、初来店から一度もトリートメントの施術を受けていないお客様などの絞り込みも可能です。
どのような属性のお客様にどんな訴求をするのが効果的かデータで判断できるため、集客チャンスを逃しません。
予約システムとの連携で集客に活用できる
サロエボは予約システム「かんざし」と連携することで、店舗の集客力の向上に役立ちます。
かんざしは、予約を一元管理できるシステムです。たとえば、予約情報とサロエボの自動配信機能を活用することで、来店予定日の前にリマインドメールを送ることが可能です。リマインドメールによってお客様が予約日時を再確認できれば、来店忘れを防げます。
また、サロエボのスタッフデータ一元管理と予約情報を連携させることで、スタッフ配置の最適化が可能です。店舗の繁忙期と閑散期、曜日や時間帯ごとの来客数に合わせてスタッフのシフトを組むことで人件費の無駄を省き、効率的な運営ができます。
予約状況を見ながらスタッフを配置することで、予約のない時間帯に飛び込みのお客様が来店された場合でも、スムーズに対応できます。
まとめ
今回は、美容室の集客で押さえるべきポイント、新規顧客・リピーター獲得の方法についてご紹介しました。
自身のお店の集客力をアップさせるには、お店の顧客層と顧客のニーズを明確にし、そのニーズに対して自店の強みやコンセプトを打ち出すことが必要です。
新規顧客を獲得するためには、オンライン・オフラインの両方で認知度を向上させ、リピーター獲得には、お店のファンになってもらえるような施策が有効となります。
さまざまな方法・施策の中から、自身のお店に合う方法・実施すべき施策を選定して、より多くのお客様に選んでもらえる美容室を実現しましょう。
