「エステサロンを開業したい!」という想いはあっても、具体的に何をしたら良いか何から始めたら良いかわからない、という人は多いのではないでしょうか。
エステサロンを開業するのに必須の資格はなく、開業届を提出すれば誰でも事業を始められます。
しかし、ビジネスを成功させるには、事業計画を立て、理想のお店を実現し、開業日を迎える必要があります。
今回は、エステサロンの開業に欠かせない要素、開業に必要な費用の目安、開業するまでの手順を紹介します。
エステサロンを成功させたい人は、ぜひ参考にしてください。
エステサロンの開業に欠かせない要素
エステサロンを開業したいと考えている人は、始めにどんな手続きや届出が必要なのか、何を準備したら良いのかを整理して、開業の準備を進めていきましょう。
ここでは「エステサロンの開業に欠かせない4つの要素」を紹介します。
開業するための届出
個人事業主としてエステを事業として行うためには、税務署に「開業届」を提出する必要があります。
開業届とは、新たに事業を開始したときに税務署へ提出する書類のことで、正式名称は「個人事業の開業・廃業届出書」といいます。
届出書は、税務署の担当窓口で取得するか、国税庁のホームページから原紙をダウンロードして準備しましょう。
なお、エステサロンを開業するのに特別な資格は必要ありませんが、マッサージやまつ毛エクステなどのサービスを提供する場合は、該当する国家資格が必要です。
サービスを行う場合は保健所への届出も必要となる点にも注意してください。
エステサロンの経営が軌道に乗り、売上の規模が大きくなってきたなら、法人化を検討しましょう。
個人事業主と法人のどちらの方が、お金の面(税金、経費など)でメリットを受けられるかを考え判断することがポイントです。
それぞれ、どんな違いがあるか以下で解説しますので覚えておきましょう。
個人事業主
個人事業主としてエステサロンを開業する人は、税務署に「開業届」を提出して事業の開始を申告しましょう。
開業届を提出すると「青色申告」で確定申告できます。
青色申告を利用すると、最大65万円の控除を受けられるため節税できるのがメリットです。
また、青色申告では純損失を最大3年間繰り越せます。経営が軌道にのるまでに発生した赤字は、黒字化したときに利益から差し引けるため節税できます。
法人
事業が順調に成長していき、ある程度の金額を稼げるようになったら、節税のために「法人化」した方が良いケースもあります。
一般的に、個人事業主の所得が800万円を超える場合は、法人化による節税メリットが大きくなると言われます。
あくまで「一般的」ですので、法人化した方が良いのかどうかは個人の状況によって変わります。
法人化する前に専門家に相談をして、節税効果をシミュレーションし、個人事業主と法人のどちらの方が節税になるのかを確認してから、判断しましょう。
法人化はたくさんのメリットがありますが、デメリットがあることも覚えておきましょう。
法人設立の費用がかかる点や、決算書や法人税申告書などの書類作成が必要になるなど、負担が増えますので、それらを理解した上で法人化を検討してください。
店舗物件
エステサロンを開業するには、事業を行う場所=店舗物件が必要です。
物件の種類としては、以下のようなものがあります。
- 自宅
- 賃貸マンション
- テナント
サロンのコンセプトや準備できる資金によって適した物件は変わります。
どんなサロンにしたいのかを明確にし、売上の見込みを立て、無理なく事業を維持できる範囲で物件を探しましょう。
物件を選ぶ際のポイントとして「立地」も重要です。
人通りが多い場所に出店すれば、単純に人の目に触れるため、それだけで集客しやすくなります。
また、駅から近い、駐車場があるなど、アクセスのしやすさも集客に影響を与えます。
ただし、立地条件が良い物件は家賃が高い傾向があるため注意が必要です。
サロンの予測売上とバランスを取りながら、出店場所を選びましょう。
運営に必要な備品・機器
サロンを運営するためには、備品や機器を揃える必要があります。
店舗物件が決まれば、何をどれくらい置けるか判断できるようになりますので、必要なものを揃えていきましょう。
ここでは、エステサロン運営に必要となる主な備品・機器をご紹介しますので、参考にしてください。
エステサロンに必要な備品
- タオル
- シーツ
- エステガウン
- スリッパ
- エステ用化粧品
- アメニティグッズ
- 各種掃除用品
- 各種事務用品
- ワゴン
- 応接セット(テーブル、椅子、ソファなど)
- ロッカー
エステサロンに必要な機器
- 施術用ベッド
- エステ機器
- タオルウォーマー
- レジ
- パソコン
- タブレット
提供するサービスによって、必要な備品や機器が変わる点に注意し、不足がないように準備しましょう。
顧客管理ツール
エステサロンを開業するにあたって、顧客管理ツールは欠かせません。
顧客の氏名、住所、連絡先などの基本情報を適切に管理することで、接客がスムーズになりますし、お客様の満足度も上がります。
また、予約を管理するためにもツールは必要です。
顧客管理ツールには、紙ベースで管理するものと電子システムを導入して管理するものがあります。
紙ベース管理はコストを抑えられますが、客数が増えると管理が難しくなります。
電子システム管理の場合、コストはかかりますが紙ベースに比べて管理が楽です。
さらに、売上情報や顧客情報の分析、プッシュ通知を使った販促など、システムによる恩恵が大きいのも特徴です。
サービスの内容によって料金は異なりますが、おおよそ5,000円~50,000円でシステムを利用できますので、予算に合わせてプランを選びましょう。
紙ベースから電子システムへの移行は、お客様の数が増えれば増えるほど大変になりますので、開業時から電子システムを導入することをおすすめします。
エステサロンの開業に費用はいくらかかる?
エステサロンの開業を考えている人にとって、最も気になるのは開業の費用ではないでしょうか。
サロンの開業資金は、店舗物件の種類によって大きく異なります。
それぞれの店舗形態でどのくらいの資金が必要なのかを解説します。
自宅で開業するなら約20~30万円
自宅でエステサロンを開業する場合、費用の目安は約20~30万円になります。
物件を新たに借りる必要がないため、家賃や敷金・礼金などの物件を準備するお金がかからないことがメリットです。
生活空間をお客様がリラックスできる空間に変更するための内装費用や、場合によっては小規模改装の費用が大きな支出になります。
賃貸マンションでの開業は約100~200万円
賃貸マンションで開業する場合、必要な費用は約100~200万円です。
最も支出割合が大きいのは、賃貸物件契約のための費用です。
事業用で借りる場合、賃料、敷金、礼金、保証金などをまとめて払う必要があり、仮に家賃10万円とすると物件の契約費だけで60~80万円程度になります。
さらに追加で、内装費、備品購入費、広告宣伝費などがかかります。
テナントでの開業なら300万円以上かかることもある
ショッピングセンターやオフィスビルなどのテナントに入居して開業する場合は、300万円以上かかることもあります。
テナントサロンの場合、物件の契約時に敷金の他に保証金がかかります。
また、テナントが居抜き物件でない場合は、何もない状態から全てを準備する必要があり、高額な内装工事費用がかかります。
店舗の規模によっては従業員を雇う必要がありますので、その場合は数ヶ月分の人件費を用意しなければなりません。
エステサロンを開業するまでの7つの手順
ここではエステサロンを開業するまでの7つの手順をご紹介します。
サロンを開業するには、何が必要なのかをしっかりと理解し、準備を進めていきましょう。
具体的な事業計画書を作成する
最初のステップは具体的な事業計画書を作成することです。
どんなコンセプトで、誰をターゲットにして、どこにサロンを出店するのかを決めて、事業計画書に落とし込んでいきましょう。
店舗のイメージができたら、資金計画を立てます。
店舗の家賃、備品・機器の購入代、内装費、人件費、広告宣伝費など、開業に必要なものを揃えるのにいくらかかるのかを計算し、どうやって資金を捻出するかを決めます。
最後は収支計画を立てます。
エステサロンの利益目標を設定し、提供するサービスの内容や料金を決定します。
目標を達成するためには、客単価いくらで何名の来店が必要なのか、どうやって集客するのかまで、しっかりと考えておきましょう。
事業計画書は、公的機関や金融機関から融資・助成金・補助金などを受ける際に必要になりますので、必ず作成してください。
理想のサロン物件を見つける
開業するサロンのイメージが固まったら、理想のサロン物件を見つけましょう。
広さ、外観、内装、居抜き物件かどうかなどチェック項目はたくさんありますが、特に重要なのは「立地」です。
エステサロンは立地によって収益が大きく変わります。
物件が良くても、立地条件が良くなければお客様が集まりません。反対に、好条件の立地でも、家賃などの経費が高ければ利益が圧縮されてしまいます。
サービスの内容・価格、ターゲット層、経費のバランスを考えながら物件を探しましょう。
賃貸物件で開業を検討している場合は、不動産会社にビジネス利用可能な物件であるかを確認してください。
商業施設などのテナントで開業する場合は「固定賃料」か「歩合賃料」のどちらの契約になるかを確認しましょう。
歩合賃料だと、毎月の売上に応じて賃料が変動するため、その点を踏まえて事業計画を修正する必要があるためです。
開業に必要な資金の調達
開業資金が自己資本でまかなえない場合は、不足分の資金調達が必要です。
開業=過去の実績がない状態ですので、銀行や信用金庫から融資を受けるにはハードルが高い傾向があります。
エステサロン開業で資金調達する際の借入先は「日本政策金融公庫」か「制度融資」が選択肢になるでしょう。
どちらの制度も国や自治体が関わっていますので、比較的良い条件で借入ができます。
また、親族から資金を援助してもらうケースもあるかもしれません。
この場合、贈与なのか借入なのかで必要な手続きが異なりますので、注意が必要です。
補助金・助成金の申請を忘れずに行う
資金調達の方法は融資の他に「補助金」「助成金」がありますので、忘れずに申請しましょう。
補助金も助成金も、国や地方公共団体から支給されるお金のことで、原則として返済は不要です。
返済資金についての心配が無くなるので、開業する人にとっては大きなメリットになります。
補助金と助成金の違いは、受給の難易度です。
補助金は、経済産業省が主に管轄し、地方経済の活性化を目的としている支援策です。書類や面接を通して採択を受けるため、申請しても必ず受給できるとは限りません。
審査は厳しいですが、給付額が大きいのが特徴です。
助成金の主な管轄は厚生労働省で、雇用環境や労働環境の安定を目的としてる支援策です。
助成金の場合、決められた要件を満たした上で申請すれば基本的に受給できます。
受給の難易度は低いかわりに、給付額は補助金に比べて少額になることを覚えておきましょう。
お客様の満足度を上げる店舗づくり
エステサロンの開業に向けて、お客様満足度を上げる店づくりをしましょう。
サロンの雰囲気を決める外観や内装は、初回の入店やリピート率に影響するため重要です。インテリア小物や照明、アロマなどの細かいところまでこだわりましょう。
お客様のニーズを満たすサービスを提供することも、満足度の向上に繋がります。
また、安定した集客には店舗でしか受けられない施術、リーズナブルな施術価格など、競合他店との差別化を図ることもポイントです。
従業員を雇う場合は、お客様対応、施術、店舗管理などの教育を行い、どの従業員が対応しても「また来たい」と思ってもらえるお店にしましょう。
運営に欠かせない設備・備品を準備する
開業日に余裕を持って、サロン運営に欠かせない設備・備品を準備してください。
ベッドやエステガウンなど施術に必要な備品、応接セットやロッカーなどお客様が快適に過ごすための家具、店舗管理に使用する事務費品や掃除用品などが必要備品になります。
また、パソコンやタブレット端末、店舗管理用の電子システムなど、サロン運営をスムーズに行うための設備も揃えておきましょう。
設備・備品の不足がないように、チェックリストを作成して管理するのがおすすめです。
営業開始前に集客活動を行う
営業開始前の集客活動を忘れずに行いましょう。
素晴らしいお店を作っても、お客様に認知されなければ来店してもらえません。
ポータルサイトへの掲載、Web広告やSNS広告などは比較的効果が高い施策ですが、コストも高いので予算に合わせて上手に使いましょう。
アットホームな雰囲気の地域密着型のサロンならポスティング、テナントサロンならショッピングセンター内でのサイネージ訴求やチラシ訴求なども有効です。店舗形態に合わせて集客活動を行いましょう。
集客のチャネルが多ければ多いほど、顧客を集めやすくなりますので、どんなアプローチがあるのかを把握しておくことも大切です。
オープンの1ヶ月前には集客活動を行い、売上を作っていきましょう。
営業の流れの確認や練習をしておく
営業の流れの確認や練習をしっかりと行いましょう。
いざ接客する際に、緊張して上手くできないなんてことは誰にでも起こり得ます。イメージ通りに動けるように、繰り返し確認や練習をしましょう。
従業員を雇っているなら、接客ロールプレイングをしてお互いに気がついた点をフィードバックするのがおすすめです。
サロンの売上向上には、営業トークも重要になります。
サービス成約、単価アップなどケースに応じて最適なトークを設計し、全従業員が実施できるまで教育を行いましょう。
税務署に開業届を提出する
個人事業主としてエステサロンを開業する人は、税務署に開業届を提出しましょう。
開業届を提出すれば青色申告の制度を利用できるようになり、最大65万円の控除や損益通算などで節税ができるなどさまざまなメリットがあります。
エステサロン開業の強い味方「サロエボ」
エステサロンの安定した運営には、管理システムの電子化が欠かせません。
店舗の作業は、顧客情報の管理、予約管理、売上管理・分析、販促など多岐にわたります。一連の作業を電子化すれば作業時間が短縮でき、データを引き出す際もスムーズです。
「サロエボ」はサロン運営に特化したPOSシステムです。
経営、接客、販促などのサロン業務を一元管理できるので、業務が効率化できます。
具体的な機能を以下でご紹介しますので、サロン開業にあたって電子システムの導入を検討している人は参考にしてください。
経営に必要な情報を一元管理できる
サロエボは、POSレジで会計した情報を各種ツールに反映し、経営に必要な情報を一元管理できるシステムです。
- 来店予測分析
- ABC分析
- 外部会計ソフトとの連携
顧客の来店履歴から次回の来店日を予測します。来店周期の見える化により、お客様にとって最適なタイミングで次回予約の提案が可能です。
サービスや販売商品の売上高、コスト、在庫などの指標の中から評価項目を分類し、優先度を決めるための分析ツールです。ABC分析を使うと影響度が高い項目が可視化されますので、効率よく効果的な施策を打つことができます。
会計ソフトを使用中の場合、サロエボと連携して継続使用が可能です。システムを乗り換える必要がありませんので安心です。
販促機能でリピーターにつなげやすい
サロエボは、様々な機能を持った販促アプリと連動していて、簡単な操作で自分のお店専用アプリとして運用できます。
バッジ機能やプッシュ通知でお客様にオトクな情報を発信、スマホでポイント利用、アプリから来店日を予約、お店のLINE公式アカウントと販促アプリの連携などが可能です。
店舗とお客様、双方にメリットがあり、リピーターの数を増加・定着させられるのが強みです。
電子カルテ・予約システムとの連携で業務効率を向上できる
電子カルテ・予約システムと連携可能なサロエボを導入すれば、業務効率が向上します。
顧客情報を正確に管理するためには、電子カルテや予約システムが必要不可欠です。
サロエボは、それらのシステムと連携可能なため、無駄な事務作業を削減でき、スタッフの生産性を向上できます。
連携可能なシステムは以下のようなものがあります。
かんざし
かんざしは複数のWebサイトからの予約を自動で一元管理できるサービスです。
ポータルサイトやWebサイトなど、複数の予約チャネルを導入しているサロンでは、予約ミスやダブルブッキングを防ぐため、常に最新の予約状況を同期する必要があります。予約チャネルを増やすほど集客に繋がりやすくなりますが、サロンの作業も増え負担も大きくなります。
かんざしのシステムでは、予約情報がかんざしに集約されます。どのチャネルから予約を受け付けても、他のチャネルに予約情報が自動で反映されるため、照らし合わせや手動での入力が必要ありません。
LINEやInstagramといったSNSと連携して予約を受け付けられるのもかんざしの特徴です。
上記のSNSは日常的に利用している人が多いので、お客様にとって便利に簡単に予約できるというメリットがあり、予約までのハードルが下がれば予約数も増えていきます。
SNSは新規顧客へのアプローチもしやすいため、予約システムとの連携はシナジーがあり、サロンの集客力アップにつながります。
ビューティーパレット
ビューティーパレットは、手書きが出来る電子カルテシステムです。
カルテはお客様の基本情報のほかに、来店履歴や施術履歴、サロン利用の目的、体質や体調の悩みなどを記録するもので、お客様とサロンの信頼関係を築く上で重要なツールです。
紙ベースカルテはコスト面では優れていますが、情報を探す手間がかかる、お客様が増えるとカルテの保管場所を確保する必要がある、劣化するなどのデメリットがあります。
しかし、ビューティーパレットを導入すれば、それらのデメリットは解消でき、作業に費やしてきた時間を接客に割り当てられます。
また、ビューティーパレットなら手書きの情報も追加可能です。文字の入力だけでは難しかった感覚的な情報もカルテに記載して、より詳細なお客様情報を残すことができます。
タブレットなどで撮影した写真をカルテに取り込むこともできるので、施術後の変化も正確に記録でき、さらに接客時の販促にも役立ちます。
まとめ
今回は、エステサロンの開業に欠かせない要素、開業に必要な費用の目安、開業するまでの手順をご紹介しました。
エステサロン開業のハードルは高くはありませんが、ビジネスを成功させるには、サロンのコンセプトをしっかりと決め、利益が出る店舗設計をしなければなりません。
この記事を参考にして事業計画を練り、開業準備をしていきましょう。